大雪山縦走 3日目~4日目

8月16日

夜中に風の音で目を覚ます。時計を見ると2時半くらい。案の定強い風が吹いていて、テントがかなりばたついている。なんだか外で人が動いてる気配がするが、いまいち確認する気にもならなかったので目を閉じていた。

しばらくして風が更に強くなった。さすがにこれはやばい気がする。ライトをつけると、テント内が結構濡れている。
背面上部の換気口を閉じる面ファスナーが雨と風で開いてしまって、その隙間から雨が入ってきてるらしい。これは構造上の欠陥じゃないのか?と思いながらも、どうするか考える。とは言えどうにもならなそうなので、適当に荷物をまとめて避難小屋に退避することにした。外に出るとテントが幾つか減っている。スイス人のテントが酷いことになってるけど、なにがあった…?
強風でテントの撤収は無理なので、ポールだけ倒して小屋に駆け込んだ。

小屋の中は意外と静かだが、やはり避難してきた人もいた。スイス人のテントは風で崩壊して、中の荷物が散乱したそうだ。
濡れたものをチェックし、干せるものは干す。
前回の白馬での教訓で防水だけはかなりしっかり対策をしていたので、濡れちゃいけないものは濡れていなかった。

この状態では出発は無理そうなので、1日停滞することにした。停滞なんて初めての経験だ。幸いiPodやら文庫本やら暇を潰せるものはあるので、だらだらと過ごす。避難小屋に1日いることなんてないから、見てるとそれなりに楽しかったりもする。雨風が弱まったタイミングを見て、テントを撤収。ドロドロになっていてとてももう1日使う気にはならない。明日下山しよう。

夜になると小屋番と常連ぽいおじさんがジンギスカンを食っていた。北海道ということを再認識する。おじさんはどうやらこの小屋の初代の小屋番だったらしい。役所との軋轢やら、色々な愚痴を聞いた。山もそういうところは同じなんだな…。

8月17日

風は止んだものの、雨は少し降っている。黒岳方面に向かい、途中天気が好転したら近くの山にも足を伸ばすことにする。

一昨日は青い空が見えた道だったのに、今は一変して真っ白な景色。こういう景色も嫌いじゃないが、レインウェアを着るのが嫌いなんだよな。しかしそんなことを考えながらも、開き直ったのかすこしずつ楽しくなってきた。雨も強くは降らず、フードは外して鼻歌交じりに歩く。

途中でベンチがあったので自分撮りなんてしてみた。寂しい画だ。

北海岳の分岐を通り、黒岳方面へ。少し明るくなってきた気がする。なんだか少し雰囲気の違った場所があり、近づいてみたら墓碑だった。いまいち何が彫ってあるのかわからなかったので、誰の墓かはわからなかった。自分もこういうとこに埋めてもらいたいな。

歩いて行くと草陰で何かが動いた。よく見ると二匹のリスがいる。一匹はさっさと逃げていったが、もう一匹はちょっと逃げては何かをかじっている。ゆっくり近づくとポールでつつけるくらいの距離まで近づけた。写真を撮らせてもらって、気をつけろよと声をかけて先へ進む。
草が増えたせいかリスが多い。気がついたら50cm位の距離にいたりもした。

この頃から青空が見えてきた。増水気味の川を渡り終わったところでレインウェアを脱ぐが、少ししたらまた空が暗くなってきた。つくづく嫌われてるなー。黒岳石室についた頃には軽く降ってきて、視界もすこぶる悪い状況。まっすぐ下山することにする。
黒岳の頂上直下ではナキウサギが姿を見せてくれた。細かく動くので写真はピンぼけ一枚しか撮れなかった。耳が短いとでかいネズミのようだ、と思ってたのが気に食わなかったのかもしれない。

黒岳頂上は展望0。さっさと下りる。地味に雨が降ってるがレインウェアを着るのも面倒なので、そのまま下る。登ってくる人もちょこちょこいるが、登ったところで何も見えないだろう。

1時間くらいで黒岳リフト駅に到着。この駅はやたらとリスが居る。自宅近辺にリス園というのがあるけど、それに近いな。ともかくリフトに乗り、ロープウェイに乗り層雲峡に到着。大雪山縦走はこれでお終い。
自分が思い描いてたようには行かなかったけど、なんだかとても楽しかったなー。

“大雪山縦走 3日目~4日目” への3件のフィードバック

  1. まさ より:

    縦走お疲れサマでした!
    なんだか写真からも北海道の雄大さが伝わってくるようです。
    北アとかだとなんだか山山!って感じですけど、北海道の方は「自然」そのものの中に放り込まれたような感覚なんでしょうかね?
    いつかそれを感じに歩きに行ってみたいものです(^^

    ちなみにあの外人さんのテント、やっかりケルティでしたね。
    あれでもクロスポールのテントだったと思いましたが・・・風速30mにはさすがにテントは耐えられないですね(><)
    自分も北海道行くならテントは考えないとですねえ・・。

  2. ノブタ より:

    行きのロープウェイで「山の高さを語るなら富士山に登れ、山の広さを語るなら大雪山に登れ」というような言葉を聞きました。
    登ってみるとたしかにそういう感じです。北アのように雲海の上から見下ろす感じではなく、延々とトレイルが続いてるような景色でした。
    アメリカのロングトレイルとかこういう感じなのかな、とちょっと思いました。
    機会があればぜひぜひ行ってみて下さい!

    大雪山はそこそこ風が強いみたいですが、今回はまた特別なようです(笑)
    ちなみに最後までまともにたっていたのはアライのエアライズでしたね。モンベルのステラもありました。まあベテランの方が張ってたので、そういうところの差もあると思いますが…。

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